とある魔術の禁書目録二次創作「そんなあなたに恋をした」 前編

*注意*

・拙作は、とある魔術の禁書目録の二次創作です

・CPは上条×黒子です

・文章力が残念なのは実力不足です

以上の点が許せる方のみ、下へとスクロールしてください
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
とある魔術の禁書目録二次創作「そんなあなたに恋をした」
 
 白井黒子という学生がいる。
 能力開発の名門女子校・常盤台中学の生徒で、茶色い髪をツインテールにした小柄な少女だ。
大能力 (レベル4)に認定された空間移動 ( テレポート )』の使い手であり常盤台中学の中でも割上位の力を誇る白井だが、今の彼女にはそんなお嬢様の面影微塵もなかった彼女の敬愛する『お姉様』にちょっかいを出す(ように見えている)憎き恋敵である『殿方』を絶賛ストーキング中だからだ
 と。
 その殿方が振り向きそうになったので、白井はさっと物陰へと隠れた。
(うふふ。完璧ですわよ、黒子。この調子で尾行を続けますの。人間誰しも聖人君子なわけありませんし、あの類人猿の悪行の現場を押さえてお姉様に突き出してさし上げますわ。うふふ。うふふふふふ! 完ッ璧ですの!!
 一目もはばかることなく山賊みたいな笑みを浮かべる白井黒子。そんな様子を見た周りの人間はなるべく関わらないように白井を避けて歩いている。
 そこには本来学園都市の少女達の憧れの的であるはずの、常盤台中学のお嬢様を中心にした異様な光景が広がっていた。
 
 
 
 
 ゾクゥ――ッ!
「――――ッ」
 本日何度目かの悪寒を感じた上条はバッと後ろを振り向いた。そこに見えたのは何の変哲もないいつも通り光景。
「? 何だったんだ?」
 首を傾げながら再び歩き出す上条。そんな上条を白井が尾行していることに、彼はまだ気づいていない。
 
 
 
 
 旗男 ( フラグメイカー )
 そう陰で呼ばれている少年が学園都市にいる。もちろん現在白井が尾行している人物のことであり、その名を上条当麻という。
「はぁ……。全く何なんですの、あの殿方は」
 犬も歩けば棒に当たるということわざがあるが、彼の場合は棒ではなく、女性という言葉がぴったりなようだ。
(殿方さんも歩けば女性に当たる……われながらセンスの欠片もないことを考えつきましたわね。……でも妙にしっくりくるところが、非常に苛立たしく感じるのは何故でしょう?)
 相変わらず上条の尾行を続けている白井だが、先程から彼の女性との遭遇率が高いことに、自分が苛立ちを感じているという自覚があった。
(先程から困っている女性を見つけては片っ端から声を掛けて――ま、人助けをすることが悪いこととは言いませんが。……その困っている人がことごとく女性というのは、一体どういうことですの!?)
 むー、と徐々に白井の顔に不機嫌さが増していく。
 木に引っ掛かった風船を取ろうと必死にジャンプする少女。
 財布を落としたという女子中学生。
 道に迷った妙齢の女性。
 女性にお礼を言われるたびにでれっとした表情をする(ように見えていた)上条に、白井の機嫌は悪くなる一方だ。
(確かに困った人を見過ごせないというのが、あの殿方の美徳ではありますが――ってこれではあの殿方を擁護していることになりますわね。わたくしの目的は……そう、あの殿方の本性を暴くことですの!)
 なにやらぶつぶつと呟いていた白井だが、やおら手を握り立ち上がった。そしてある決意に満ちた表情で、
「こうしてはいられませんの。早くあの殿方の悪事を阻止――白日の下に晒しませんと。……って、あら?」
 が。
 周りを見渡してみても件の少年の姿はなかった。どうやら白井が考え込んでいる最中にどこかへ移動してしまったようだ。しばらく周りを見渡していた白井だが、ようやく状況が把握できたのか一言、
「――完ッ全に、見失いましたわーッ!!」
 お嬢様らしかぬ叫び声をあげた。
 
 
 
 
 今日は至って平和である。
 それが、ぶらぶらと歩き回っていた不幸少年上条当麻の感想だ。
 途中何人かの困っている人を助けるということはあったが、別段超電磁砲 (レールガン )やよくわからない魔術が飛んでくることもなくいたって平穏な現状を満喫していた
「あー、平和だー。今日に限って、御坂がビリビリしてくることもないし、あの不良神父が襲撃してくることもないとは。……もしかして、もしかしなくても今日はいい日なのか?」
 ヒャッホウ! と上条は小躍りしそうになる。いつもどれだけ不運な目にあっているかが垣間見える、なんとも不憫な少年である。
「しっかし、暇だなー。こんな日に限って誰も予定が開いていないとは、さすがの上条さんでも予想外ですよ」
 インデックスは、ちょっとあいさのとこに行って来るー、と早々に家から出て行き、土御門元春と青髪ピアスは、メイドの国を探すんやー、と遠くへと旅立った。そのまま寮の自室で過ごしていてもよかったのだが、健康な男子学生が引き籠っているのもどうなのかということで、ぶらりと外へと出た。そして現在に至る。
「それにしても暇すぎる。……しょうがない、無駄使いはしたくないけどゲーセンにでも行くか」
 小一時間歩いてみた結果がこれだった。さっきよりも若干肩を落としながら、上条はゲームセンターのある地下街へと向かっていった。
 
 
 
 
 白井黒子は地下街の入口近くのカフェテリアにいた。
 少し値は張るが、おしゃれな女の子に大人気の店である。
「……、いないですわねー」
 上条を見失ってからしばらく辺りを探していた白井だが、彼を見つけることはできなかった。なのでとりあえず休憩を入れようとこの店に入ったのである。
「全く……不覚ですの。まさか殿方見失うなんて」
 適当に頼んでおいたケーキをパクつきながら、思わずため息をついてしまう白井であった。
(尾行していたときですらああでしたのに……。わたくしが見ていない間にどれだけの人数の女性を手に掛けているのか、不安でしかたありませんわ)
 白井自身も上条がそんなことをする人物ではないとわかってはいるのだが、それでも彼が女性といる場面を見ると、何故か胸が締め付けられるような気持ちがするのだ。
(そもそも、何故あの殿方の周りには女性ばかりいるのでしょう? それも綺麗な方ばかり。……確かにあの殿方は、以前わたくしを助けて頂いた時は真剣なお顔をなされていましたし。少しは、悪くはないとは思いはしますけど――っていけませんわ、黒子。わたくしにはお姉様という方がいらっしゃるのに!)
 だんだんと白井の思考が暴走状態になってきたようだ。そもそも何故上条を尾行していたのか、ということはすっかり忘れ去られている。そして白井の暴走はしばらく続く。
 
白井と上条の関係は御坂美琴なしでは語れないものである。
白井と上条だけで会うことはおろか、会話すらまともにしたのも数えるほどだ。彼らが初めて顔を合わせた時なんて非常時のさなかであった。そんな、御坂というパイプをもって辛うじて繋がっている、あまり強くはない関係であった。
が。
白井は最初こそは自分の恋敵として認知しているにすぎなかった。自らのお姉様とその意中の殿方――そんな関係に危機感を抱き、結果的に上条を尾行するという直接的な行為にまで発展することとなった。
その動機に御坂美琴という媒介があるにしろ、白井は自分自身の目で上条当麻という一人の人間を見たのである。御坂美琴という他人 ( 、、 )評価ではなく、自らの見聞きした事実は白井に、上条当麻という男について興味を持たせるには十分なものだった。
 
(わたくしを助けて下さったのには感謝致しますけど、『お姉様とお姉様の周りの世界を守る』ためという理由では、お姉様のおまけで助けられたという感じがして少しむかつきますわ)
「……っと、やはりあの殿方を見つけないといけませんわね」
 白井は席から立ち上がり、
(もしわたくしがお姉様と関係がない人物だったとしても、あなたは助けて下さったのでしょうか?)
 その答えを求め、走り出す。
 
 
後編へ続く