とある魔術の禁書目録二次創作「甘いチョコは好きですか?」

*注意*

・拙作は、とある魔術の禁書目録の二次創作です

・CPは姫神&吹寄×上条です

・文章力が残念なのは実力不足です

以上の点が許せる方のみ、下へとスクロールしてください














では、どうか拙作をお楽しみください



とある魔術の禁書目録二次創作「甘いチョコは好きですか?」

 バレンタインデー。
 本来迫害によって殉教した聖ウァレンティヌスに由来する記念日であるとされている。
 が。
 製菓会社の汚い陰謀の所為であろうか、日本ではまったく異なる行事として祝われている。いわばクリスマスと同じ悪しき行事である。
 ここは学園都市。
 二三〇万人の人口の内ほとんどが学生である。よくも悪くも、この日は学生にとっての一大イベント。この場所のあらゆるところで同じような光景を目にすることができる。
 下駄箱や机の中を探り、がっくりと肩を落とす者。真っ赤な顔で、綺麗に包装された箱を渡す者。それを受取り、同じく顔を真っ赤にする者。大量の袋を両手に提げ、他の者に袋叩きにされる者。
 と。
 そのような中、とある少年はどのようにこの一日を過ごしたのだろうか?

姫神秋沙・吹寄制理の場合~
 朝のHRが終了し、上条は自分の机にうつ伏せになっていた。
「ふわぁー……眠い」
 そしてそのまま、ぼけーっと窓の外を眺めていた。
その周りでは『ぎゃー期待してなかったけど、やっぱ机の中にも何もないねん』『どっかのロリからのチョコは入ってないかにゃー』などと騒いでいるクラスメイト達がいる。
「上条君」
「上条」
 そんな上条に掛かる二つの声。
 前者が姫神秋沙、後者が吹寄制理。
 共に上条のクラスメイトだ。
「どうした二人とも、上条さんは今非常に眠たいのですよ」
 心なしか顔を赤らめて、もじもじとしている二人を不思議そうに見ながら、上条はもう一度欠伸をする。
 最初に動いたのは吹寄だった。
 意を決するように深呼吸し、
「こ、これ。別に他意はないけれど大覇星祭のときは世話になったしその御礼というか。そ、そうよいわば義理チョコよそこは勘違いしないでちょうだい」
 そう言い放ち、綺麗にラッピングされた小箱を、叩きつけるように上条に渡した。
 吹寄はおでこまで真っ赤にしながら、肩で息をしている。
 ヒィ!! と上条はその剣幕に若干ビビりつつも、
「さんきゅー、吹寄。ありがたくいただきます」
 貰った小箱を捧げ持つように、頭を下げた。
「……ふ、ふんッ」
 顔を真っ赤にしながらそっぽを向く吹寄。だが、その横顔が若干嬉しそうなのを、姫神は見逃さなかった。
 姫神は嫉妬をしている自分に気が付いた。上条と吹寄のやりとりを見てて、おもしろくないと感じていた。
 そして姫神は、彼女にしては珍しく、強引に上条と吹寄の間に入り、
「上条君。私も。これ」
 スッ、と吹寄と同じように綺麗に包装された包みを上条に手渡した。
 そんな姫神の様子を不思議に思いながら、吹寄はホッとしたような、名残惜しそうな複雑な表情をして、一歩後ろに下がった。
 姫神は、いつものように無表情だが、無意識に上条を窺うような上目遣いになっている。
 上条はそんな姫神の様子を見て、
姫神も、わざわざありがとうな。哀れな上条さんのために義理チョコを作ってくれて――」
 そう言いかけた。実際のところ、上条は今日のイベントに対して何も期待をしていなかったのだ。そんなときに降ってきたクラスメイトの優しさに感謝し、そして感動もしていた。
 が。
 姫神は違ったようだ。
「――――違う」
「……へ?」
 姫神が何やらどんよりとしたオーラを纏っていた。無表情に、不機嫌さ全開の眼差しは上条じゃなくても応えることであろう。
「ひ、姫神サン? そんな目で睨まれても上条さんには何やらさっぱりでして……」
 上条は急変したクラスメイトの視線に押されていた。
 チョコを貰って、感謝の言葉を言って、睨まれた。
 り、理不尽ではございませんこと!? と上条の脳内は混迷を極めていた。
 そんな上条を見た姫神は、呆れたように溜息を吐くと、
「ごめん。吹寄さん」
隣にいる友人に声を掛け、
「……え? ちょ、姫神さん!?」
 姫神が何をしようとしているか、遅れて気づいた吹寄が制止の声を上げるよりも早く、
「違うの。上条君。私のは本命。だから」
 その言葉を口にした。

 その後の周りの反応は様々であった。
 『にゃー。やりやがったぜい』『ああそうや、カミやんはいつもそうや! 哀れなボクらの横でフラグ乱立してるんや!!』『ひ、姫神さん!? それは私との約束と違うんじゃ』と。
 いつも通りの上条に、呆れる者、血涙を流す者。いつもの彼女らしからぬ行動を見せた姫神に、慌てる者、尊敬の目で見る者。
 肝心の上条はというと、
「…………ひ、姫神サン? い、今なんと……?」
 あまりの出来事に、頭がついていかないようだ。そのまま石像と化している。
 姫神はそんな上条を半眼で見ると、
「つまり。私は。君のことが。好き」
 子供に言い聞かせるように、一字一句はっきりと、自分の想いを告げた。
 うええええーっ!! とびっくりする上条を尻目に、騒ぎ出すクラスメイト達。
 
 それを傍から見ていた吹寄は、最初は呆気に取られていた。
 が。
 吹寄は、自分の心の中がざわついているのを感じていた。
 このままでいいのか? ――否。よくない。
 吹寄もとある決意をする。
(まさか姫神さんの方から淑女協定を破るなんて……でも、あんなこと言われたら仕方ないかもしれないわね。あんなに一生懸命作ったんだもの。それを上条は…………はぁ、あんなやつなんて、絶対に好きにならないと思っていたのだけど)
 少し躊躇うように髪をオールバック状に整え、
(……姫神さんが言っちゃったならいいのよね。私だって――) 
 いくつかのヘアピンで固定した。
(――貴様のことが好きなのだから)

上条当麻!」
 今度は何だ? と一同が振り返った先には、
「「「「「――吹寄おでこD哨奪奪叩?」」」」」
 戦闘態勢に入った吹寄が君臨していた。
「ふ、吹寄? か、上条さんは何も悪いことはしていませんよ?」
 上条は鬼気迫る吹寄に慌てて弁明する。
 ライバルの行動を悟った姫神も若干身構える。
 吹寄はそんな友人の様子を一瞥し、
「いいわよね?」
 有無を言わせぬ迫力で、そう問うた。
 姫神は目を伏せ、観念したように頷いた。
 そして吹寄は、そんな二人のやりとりを不思議そうに見ていた上条の方を向き、
姫神さんに便乗するようで、少し不本意だけど……私のそれも、本命だから」
 赤い顔でそう宣言した。
「…………へ?」
 上条が事の次第を理解するよりも早く、

「「「「「うおおおおおおお!!!」」」」」
 
クラスのボルテージがマックスに達した。
 カミジョー属性最後の砦が陥落。
 男子達は血の涙を流し、女子達は黄色い声を上げる。中には悔しそうな顔をしている者もいた。
「ふ、二人とも? ええと、その――」
 ようやく現実に追いついた上条が声を上げる。
 が。
 それを遮るように、
「返事はあとでもいいから」
「こんなことで貴様を落とせるとは思っていないわ」
 それぞれから声を掛けられる。
 姫神はいつもの無表情で、
「でも。私は諦めないから」
 吹寄は上条を睨みつけるようにして、
「覚悟しておきなさい」
 それぞれの意志を形にした。

 これが今後起こるであろう『上条当麻争奪戦』の序章であり、これ以降、上条当麻の不幸で幸福な毎日は加速していく。


 上条当麻に幸の多からんことを――――アーメン。


Fin



あとがきはこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/dream_teller_silius/9484121.html